アンニョンハセヨ、韓国語ずきのゆきーたです。
私が教えている韓国語の生徒さんから多く受ける質問のうち1つが「あなたが」とか「あなたの」を意味する韓国語に関するものです。
テキストには「あなたが」という意味で【네가】が書かれているけれど、ドラマなどでは【니가】って言ってる、違いは何か?
たしかに、気になりますよね。
ということで、今回はドラマで耳にする【니가】 が何なのかをすこし基本を見返しつつ見ていきたいと思います。
「私の」「私に」「私が」を整理してみよう
まず、基本に立ち返り1人称の【나】(私)から見ていきます。
1人称 「私」を表す韓国語は、【나】です。ややこしいのはこの【나】に特定の助詞が付くと、形が変わることがあるということです。
それが、「の」「に」「が」です。
「私の」の場合、【나의】になりますが、話し言葉では【내】を使います。
나의 / 내 하루
(私の1日)
「私に」の場合、【나에게】といいますが、こちらも縮約形【내게】がよく使われます。
나에게 / 내게 보여 주세요.
(私に見せてください)
「私が」の場合は、【나】がなくなってしまい【내가】となります。
내가 할게요.
(私がします)

「あなたの」「あなたに」「あなたが」を整理してみよう
次に、2人称「あなた」も同じように見ていきます。
2人称は【너】です。こちらも、「の」「に」「が」つく場合形に注意が必要です。
「あなたの」の場合、【너의】になりますが、話し言葉では【네】を使います。
너의 인생 / 네 인생
(あなたの人生)
「あなたに」の場合、【너에게】といいますが、こちらも縮約形【네게】がよくつかわれます。
너에게 / 네게 줄 수 있는건 이것 밖에 없다.
(あなたにあげられるものはこれしかない)
「あなたが」の場合は、【너】がなくなってしまい【네가】となります。
네가 왜 여기 있어?
(あんたがどうしてここにいるの?)

【니】とか【너】って何?
でも、実際の会話を聞いたり、ドラマを見ていると、上で説明したもの以外に2人称「あなた」とか「お前」という意味で【니】とか【너】が使われていることが多いことに気付くと思います。
実際、 【니】とか【너】 もよく使うのですが、話し言葉でのみです。
「私の」【내】と「あなたの」【네】を区別するための 【니】と【너】
先ほどの表を見てください。


赤字になっている「私の」の【내】と「あなたの」の【네】って、発音の区別がほぼないんです。そのため「あなた」なのか「私」なのかどっちか分からないという状況を切り抜ける方法として、「あなたの」の【네】を【니】または【너】と発音して区別し使います。
つまり、「あなたの」を意味する言葉としては4つもあることになります。
너의 / 네 / 니 / 너 인생
(あなたの人生)
「私が」【내가】と「あなたが」【네가】を区別するための 【니가】と【너가】
同じく、先ほどの表で青字になっている「私が」の【내가】と、「あなたが」の【네가】も同じように発音の区別ができません。それで、「あなた」という意味を明確にするために、【네가】の代わりに【니가】とか【너가】と発音して区別をしているというわけです。
네가 / 니가 / 너가 왜 여기 있어?
(あんたがどうしてここにいるの?)
ということで、先ほどの2人称の表をさらに詳しくするとこうなります。

【니】や【너】は標準語としては認められていないようです。ですので、書くときにはきちんと書くけど、話す時には 【니】 【너】【니가】【너가】を使うという、使い分けがされています。
このうまい逃げ切り方はかなり広く採用されていて、標準語としてもいいんではないかと思うほどです。
同じ理屈なら、「私に」の【내게】と「あなたに」の【네게】にも同じことが起こっていいようなものですが、【니게】とか【너게】とかは言わないようで、そのあたりは不思議です。
以上、【니가】の謎に迫ってみました。参考になればうれしいです。