アンニョンハセヨ。韓国語好きのゆきーたです。
今日の韓国語レッスンでのことです。私が教えている初級クラスの生徒さんの作文に【안 많아요】(多くないです)という韓国語が書かれていました。
添削しながら、一瞬手が止まりました。
【안 많아요】ってなんか不自然なんです。
先日、韓国語の用言の否定文について、【안】と【~지 않다】の違いをこちらのブログで紹介しました。【안】と【~지 않다】、どちらも同じ意味だけれど、【안】は少し使い方に制限がありますよ・・・というのがこちらの記事の主な内容です。
ですが、生徒さんが書いてきた不自然な【안 많아요】という表現は、【안】の使い方の制限には引っかからないんです。
本当なら【많다】(多いです)には、【안】が使えるはずなのです。でも、使うとおかしいのです。
なぜ????
それを探ってみました。どうぞお付き合いください。
【안 많아요】はダメなの?
【많지 않아요】が一般的な使い方
さて、まず私の個人的な経験からいうと、【많다】の否定形は、【많지 않아요】を使うことの方が圧倒的に多いです。
ただ、ポータルサイトで検索してみるとわかりましたが、【안 많아요】もまったく使わないというわけでもありません。【안 많아요】を使っている人もいますが、少数派という印象です。
韓国語研究機関の見解は?
では、【안 많아요】間違いなのか?というと、「いいえ、間違いではありません」というのが答えになります。
これについては、韓国の「文化体育観光部」(日本の文化庁のような行政機関)が運営している研究機関「国立国語院」のサイトに、【안 많아요】問題について、ユーザーからの質問とそれに対する国立国語院側の回答が載っていたので、引用し、翻訳文を掲載します。
質問者のコメント
形容詞を否定するとき、 【-지 않다】使う方が自然に感じられ、【안】をつかった否定は、すこしおかしく感じます。もしかして、形容詞の前に【안】を使った否定文は、語法として間違っているのでしょうか。例えば、【사과가 안 많아요】より、【사과가 많지 않아요】が自然な文のように感じられます。
https://www.korean.go.kr/front/main.do
国立国語院の回答
‘【사과가 안 많아요】は、文法的に間違ってはいません。 【안】を形容詞に使ってはいけないという制限はありません。ですが、「標準国語大辞典」の 【안】の用例でも、【안】と形容詞を結合した例は 【안 춥다】だけが載っているだけで、多く使われてないとみられます。
https://www.korean.go.kr/front/main.do
つまり、【안 많아요】は間違ってない、けれど、形容詞には【안】を使うことがあまり多くないのかもしれないという結論なのです。
疑問文&返事ならOK!?
その他、ちょっと変わったおもしろい説も。
それは、疑問文や、疑問文への返事には、【안】+形容詞を使ってもおかしくないのでは・・という意見です。
というのは、私の知り合いの韓国人が(一般人で、言語の専門でもなければ、韓国語の先生でもありませんが)、こんなような趣旨のことを言っていたのです。
例えば、相手に「寒くないの?」と聞くとき、下の例文のように【안】+形容詞(この場合には、「寒い」を意味する【춥다】)を使っても自然に聞こえるそうです。
겨울에 그렇게 입으면 안 추워요?
(冬にそんな風に着て、寒くないの?)
他にも、例えば、何か聞かれてそれに対する答えの場合には、【안】+形容詞を使ってもおかしくないそうです。
짐이 너무 많아요? (荷物がすごく多いですか?)
아니에요, 안 많아요. (いいえ、多くありません)
바빠요? (忙しいですか?)
아니에요, 안 바빠요. (いいえ、忙しくありません)
結論:形容詞の否定文に使う【안】には注意が必要!
以上、私なりに調べてみた結果、超個人的な結論を下すなら、こうなります。
- 【안】+形容詞は、文法的には間違っていない。
- でも、実際に使う際、場合によっては、自然に聞こえることもあるけれど、不自然に聞こえることも多い。
- なので、形容詞の否定文を作る際、【안】を使うのはちょっと避けた方がいいかもしれない。または、注意して使う方が良いらしい。
雑な結論で申し訳ないのですが、こうなってしまいます。
自然な韓国語なのか、不自然な韓国語なのか・・・そのあたりの区別は、たくさんの韓国語をみて、きいて感覚を研ぎ澄ませていくしかないように思います。
そのためには、いろんな韓国語をぜひたくさんインプットしてみてください。
以上、【안】+形容詞問題について、私の意見でした。ありがとうございます。