気になる韓国語文法【안】と【~지 않다】の使い分け

文法・発音

アンニョンハセヨ。韓国語好きのゆきーたです。

私は、自宅で韓国語教室をしているのですが、初級文法を勉強している生徒さんに韓国語の用言の否定文について説明すると、

【안】【~지 않다】は何が違いますか?」

と聞かれることがとっても多いのです。

基本的には意味が同じだし、大きな差はないのですが、ちょっとややこしい部分もあります。

あまりごちゃごちゃ説明しても、かえって訳が分からくなるとも思うので、いつもどこまで説明しようかな?と迷う部分でもあります。

ですが、今回は、その【안】【~지 않다】の使い分けについて、私の知ってる限りの内容で頑張って説明してみたいと思います!

2つの否定文【안】と【~지 않다】

ます、基本的なことの確認から。

単純な用言(動詞や形容詞)の否定文「~しない」という意味で使う場合、2つの作り方があります。

一つは、用言の前に【안】を付ける方法、もう1つは、用言の語幹に【~지 않다】を付ける方法です。

例えば、「今日は行きません」という文を作るとするなら、こうなります。

오늘은 안 가요.

오늘은 가지 않아요.

2つの否定文【안】と【~지 않다】、何が違う?

では、この2つの否定文に違いがあるのか?という点を見ていきましょう。

話し言葉では【안】が好まれる

この2つの否定文、意味的には同じことを示しますので、どっちを使っても基本的にOK。差はありません。

ですが、一般的な傾向としていえるのは、話し言葉では【안】が使われることが多いということです。

というのは、話し言葉は短くするのが普通ですよね。【안】【~지 않다】、どちらが短いか・・・というと、やはり【안】の方。

ということで、話し言葉では短い【안】が使われることが多いといわれています。が、これもあくまでそういう傾向があるよという程度のものです。

【안】には使い方にいくつか制約がある

短い【안】のほうが、話し言葉で使われやすいといったものの、でも、実は、この【안】には、

「こういう場合には、使うとちょっと不自然」

「こういう場合には、こうやって使いましょ」

「こういう場合には、使えません」といった制限というかルールがあります。

一方、【~지 않다】はどんな時でも、どんな形でも自由に使える・・・つまり、制限がありません。

これまでのところをまとめると、【안】は、短くて使いやすいけれど、使い方に注意が必要な時もあるということなのです。

では、次にその【안】の使い方の制限についてみていきます。

【안】の使い方の制限

制限① 名詞+하다の場合、名詞の前に【안】が入る

韓国語の動詞には、「名詞」と「~する」を意味する【하다】がくっついてできた動詞がたくさんあります。

【공부하다】(勉強する)、【일하다】(仕事する)、【결혼하다】(結婚する)などです。

このような動詞の否定文の場合、【안】は必ず、名詞と【하다】の間に入れましょうというルールがあります。

〇 공부 안 해요. 

(勉強しません)

✖ 안 공부해요.

制限② 合成語や派生語の場合には、【안】を使うと不自然

次は、合成語や派生語で否定文を作る場合、【안】を使うと不自然ですよというルールです。

合成語の場合

合成語というのは、2つの単語がくっついてできた単語です。

例えば、【힘들다】(大変だ)。【힘】(ちから)+【들다】(かかる)という成り立ちでできた単語です。この【힘들다】の否定文は【~지 않다】が自然なのです

〇 힘들지 않아요.

(大変ではありません)

✖ 안 힘들어요.

※まれに使っている人もいるけれど・・・ちょっと不自然な感じです。

他にも、【마주앉다】(向かい合って座る)も、【마주】(向かい合って)と【앉다】(座る)が合成してできた単語です。この場合も、やはり【~지 않다】が自然です。

〇 마주앉지 않아요.

(向かい合って座りません)

✖ 안 마주앉아요.

派生語の場合

派生語というのは、独立した1つの単語に接辞が付いたものです。

接辞とは、文法的な機能はあるけれど、それ自体では語として独立していない要素

日本語で考えるとわかりやすいです。例えば、「真っ暗」という単語。「暗」という単語に、「真っ」という接辞がついてできています。こういうものを派生語といい、韓国語にもたくさんあります。

例えば、【새파랗다】。「真っ青」という意味の単語です。「青い」を意味する【파랗다】に、接尾辞【새】(「濃い」「鮮明だ」を意味する語)が付いています。

このような単語の場合には、【안】が付くと不自然になります。

〇 새파랗지 않아요.

(真っ青ではありません)

✖ 안 새파래요.

【신사답다】(紳士らしい)という単語もそうです。これは、【신사】(紳士)という単語に、「~の性質がある」という意味のある接辞【답다】がくっついてできた単語です。この場合もやはり【안】は不自然です。

〇 신사답지 않아요.

(紳士らしくありません)

✖ 안 신사다워요.

合成語や派生語の場合、絶対に【안】を使わない!というわけではなく、例外もあります。ですので、基本的には、合成語や派生語に【안】を使うと、不自然な感じがあるということで認識してください。

制限③ 文字数が長い用言に【안】は使わない(ことが多い)

いろいろな単語がある中で、文字数が長い単語(正確には、音節数が長いという表現をしますが)は、【안】と相性があまり良くないらしいです。

音節数が長いとは・・・どれぐらいのことを示すのか?そのあたりはアバウトなのですが、一般的に音節数が長いといわれる単語をいくつか挙げるとするなら、

【구불구불하다】(曲がりくねる)、【울퉁불퉁하다】(ごつごつしている)、 【출렁거리다】(波がゆらゆらゆれる)などでしょうか。

確かに長いです。これらの単語を否定文にする際には、【안】ではなく、【~지 않다】を使います。

下にそれぞれの否定文を例文として挙げてみました。✖の方は、不自然で、ほとんど耳にすることがない文です。

【구불구불하다】(曲がりくねる)の否定文

〇 구불구불하지 않아요.

✖ 안 구불구불해요.

【울퉁불퉁하다】(ごつごつしている)の否定文

〇 울퉁불퉁하지 않아요.

✖ 안 울퉁불퉁해요.

【출렁거리다】(波がゆらゆらゆれる)の否定文

〇 출렁거리지 않아요.

✖ 안 출렁거려요.

制限④ 単語自体に否定の意味がある用言に【안】は使えない

単語自体に否定の意味がすでに含まれている場合があります。

例えば、【모르다】(わからない)、【없다】(ない)、【재미없다】(おもしろくない)などです。

このような単語の場合に、【안】は使えません。

ですが、【~지 않다】の場合には「〇〇ないということはない」という二重否定的なニュアンスで使うことができるのです。

例文で確認しましょう。

【모르다】(わからない)の場合

〇 그는 그것을 모르지 않아요. 

(彼はそれを分からないことはない=わかっている)

【안】でも同じように・・・とはいかず、【안】はこの場合、使用できません。

✖ 그는 그것을 안 몰라요. 

【없다】(ない)の場合

【없다】も同じです。【~지 않다】だったら、「ないことはない」という意味で使えますが、【안】はNG!

〇 방법이 없지 않아요.

(方法がないことはない=あるにはある)

✖ 방법이 안 없어요.

【재미없다】の場合

おなじ理屈で【재미없다】の場合も、「面白くないわけではないけれど・・・」というニュアンスを【~지 않다】なら表現できますが、【안】はそもそもダメ。

〇 재미없지 않아요.

(面白くないことはない=面白いところもある)

✖ 안 재미없어요.

いかがでしたでしょうか。【안】がなかなか曲者なのです。

あまり難しく考えるとどっちを使うか迷ってしまうかもしれないので、あまり深くは考えず会話するのがいいのかなと私は思っています。

【안】は、短くて使いやすく、会話には本当に最適だけれど、使い方に注意が必要な時もある・・というぐらいを頭の片隅に止めておくぐらいで大丈夫です。

そして、たくさんの韓国語に触れていくうちに、不自然な文と自然な文の違いもなんとなく分かってきますので、ご安心ください!

以上、今日はちょと頭の痛い文法のお話でした。

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